夕べの夢(ヨーコちゃん)


「あら、チエコちゃん、ひさしぶりぃ~!!!」

 

病院の待合室にいる私に、遠くから声をかけるのは…

幼なじみのヨーコちゃん。


夢の中のヨーコちゃんは、パジャマにスリッパ姿。

どうやら入院中らしい。

 

「ヨーコちゃん、どうしたの?」

 

私の隣りに腰かけながら…

「たいしたことないの。」

 

そう言ったと思ったら、スッっと立ちあがって…

「ちょっと待ってて。すぐに着替えてくるね。」

 

 

 

しばらくすると、病院の白い壁の向こうから…

ピンクのうさぎの着ぐるみがやって来た。

 

「ゆるキャラで患者さんを和ませてるなんて、この病院は、素晴らしいなぁ~。」

 

そんなこと思ってたら、その着ぐるみが私に向かって…

「おまたせぇ~!!!」

 

「エッ!?」

聞き覚えのあるその声は、まさにまさしくヨーコちゃん?

もこもこしたお尻を二人分の椅子に乗せて、その着ぐるみは座った。

 

「ヨーコちゃん、『着替えてくる』…って、着ぐるみに着替えたの?」

「うん。入院中の普段着が着ぐるみなの。」

 

「エッ!?何で!?何で着ぐるみなの??????」

「これ着てると、知ってる人に会っても気付かれなくてすむのよ。」

 

 

ポカンとしている私に…

 

「ねぇ~、お菓子食べない?」

そう言ってヨーコちゃんは、お菓子の袋を開けた。

 

「わぁ~、着ぐるみ着てるのに、袋開けるの上手だね。」

「うん、慣れればカンタン。」

 

「ところでヨーコちゃん、着ぐるみ着たままでお菓子食べられるの?」

「それがねぇ~、着ぐるみ着てると口から食べられないの。だから、目から食べるの。」

 

「???」

 

そう言ってヨーコちゃんは、目からお菓子を食べはじめた。

 

 

「ドッカーン!!!」


完全に、見てはいけないものを見た。

目の前の出来事があまりに衝撃的すぎて、私の中で何かが爆発した。


 

 

 

「目は、痛くないの?」

「慣れれば、ぜ~んぜん!」

 

「だって、噛めないでしょ?」

「それがね、目と口はつながってるから、目から食べてもちゃんと噛めるの。体ってよくできてるよねぇ~。」

 

 

 

目から食事ができるツワモノの彼女が…

一体、何で入院しているんだろう???

 

 

宙をさまよう思考を自分の中に戻しながら、慌てて話題を変えた。

 

 

 

「ねえねえヨーコちゃん、入院してて困ったことない?」

「それがあるのよ。」

 

「私にできることだったら手伝うけど。」

「それがねぇ~、誰に手伝ってもらっても、スリッパが履けないのよぉ~。」

 

 

クラクラクラ…

一瞬めまいがして、倒れるかと思った。

 

そりゃ…

着ぐるみのそのデッカイ足の上からは、スリッパ履くのは無理だろうよ。

 

 

 

無邪気に話すヨーコちゃんを見てたら…

自分が、ものすごぉ~くまともに思えてきた。

 

 

 

 

 

「世の中、なんでもアリ!!!」

 

夢は、そう教えてくれた。

 

 

ありがとう。