夕べの夢(お姫さま)

 

夢の中の私は、お姫さま。

 

くるくるの巻き髪に、キラキラ光るティアラをつけ…

ボリュームのあるドレスを着て、ふわりふわりと歩く。

 

お城には、たくさんのおそば付き。

外出する時も、いつも一緒。

  

 

おいしい物が食卓に並び…

欲しい物は、何でも買える。

 

私は、生まれてから一度もお金を持ったことがない。

お金を持つ必要がなかったから。

 

 

 

ある日のこと…

 

「お姫さまに会わせてください!!!」

そう言って、農民がお城にやって来た。

 

理不尽なことで捕らわれの身となった妻を

「助けてください」と懇願する男。

 

男が差し出した麻袋の中には、全財産が入っているという。

 

 

薄汚れた身なり。

汗のにおい。

 

追い返そうとするおそば付きを制止し…

ゆっくりと、汚れた麻袋の紐を解く。

 

 

生まれてはじめて、お金に触れた。

 

ぬくもりの残る金貨を握る私の目から…

なぜか、涙があふれた。

 

 

中に入ってるお金が、多いのか少ないのか…

私にはわからない。

 

ただ…

そのお金に、金額以上の価値があることだけはわかる。

 

 

あふれた涙を、誰にも見られないようぬぐいながら…

 

「安心して、私に任せてください。」

 

真っ黒に日焼けしたその男に、麻袋を返しながら

私はそっと、おそば付きに目くばせをした。

 

 

 

 

 

 

「お金より尊いものがある」

 

夢は、そう教えてくれた。

 

 

 

ありがとう。